iPhoneで撮ったフィギュアの写真が実物より顔が歪んでいたり、撮影ボックスを使ったのに妙に暗かったりするのは、設定と配置の選び方によるところが大きい。カメラ性能を上げなくても、ズーム域・露出固定・ライトの当て方という3点を変えるだけで結果が変わる。
歪みを最小限にするズーム域
iPhoneのカメラには現行モデルで通常0.5倍・1倍・2〜3倍のレンズが切り替えられる(機種によって倍率構成は異なる)。0.5倍は超広角レンズに相当し、画角が広い反面フレームの端に行くほど歪みが大きくなる。フィギュア全体をフレームに収めつつ自然な体型で写すには1〜3倍の範囲が適している。
寿屋(コトブキヤ)が公開しているフィギュア撮影解説では、スマホで撮ると身体のバランスがおかしく写るのはレンズ歪みが原因で、外側に向かうほど歪みは大きくなると指摘している。歪みを抑えるには被写体をフレーム中央に置き、倍率を上げて物理的な距離をとる構成が有効だ。
1.5〜2倍程度に設定してフィギュアから60〜80cm離れると、顔と体型のバランスが安定しやすい。1/7〜1/8スケールのフィギュア(全高20〜25cm)を画面いっぱいに収めるには、この距離設定がひとつの出発点になる。スマホを近づけて広角で撮る方法は手軽だが、鼻が実際より大きく見える遠近感の誇張が起きやすい。
撮影前に変えておくiPhone設定
設定アプリで変えておくと結果が安定するポイントが2点ある。
フォーマットの選択は設定アプリ→カメラ→フォーマットで行う。「高効率」はHEIF形式(.heic)でファイルサイズが小さいが、メルカリや一部のECサイトへのアップロード時にJPEG変換が必要になることがある。「互換性優先」にしておくとJPEG(.jpg)で保存されるため、変換の手間がない。EC出品で直接アップする用途では互換性優先が扱いやすい。
もう一点はApple ProRAWの扱いだ。iPhone 12 Pro以降で設定できるProRAWは後からPCで色調整する前提のフォーマットで、フリマアプリにそのまま投稿するには不向きだ。撮って即アップする用途ではオフにしておく方が実用的だ。
AE/AFロックで白背景の露出を固める
白背景でiPhoneを手持ちのまま使うと、構図を変えるたびに露出が自動調整されてフィギュアの明るさが揺れる。AE/AFロックを使えばこの問題を防げる。
フィギュアの顔か胴体にタップしてフォーカスが合ったら、そのまま長押しする。「AE/AFロック」と黄色いバナーが表示されたら指を離す。構図を変えても露出とフォーカスがリセットされない。
白い背景が明るすぎてフィギュアが暗く写る場合は、ロック後に画面右の太陽アイコンを下にスワイプして露出を下げる。背景が灰色がかるほど下げるとフィギュアも暗くなりすぎるため、顔が適切に明るい状態を目安に調整する。
撮影ボックスで顔が暗くなるケースの解消
撮影ボックスのライトは天板や側板に配置されているため、正面からフィギュアの顔に光が当たりにくい。フィギュアをボックスの奥に置いたままにするとライトの直射光が届かず、顔が影になる。
解消の手順は2段階ある。まずフィギュアをボックス内の前方1/3に移動する。奥から引き出すだけでライトとの角度が変わり、顔への光量が増す。次に白い紙やフォームボードを手前に立て、レフ板として機能させる。A4コピー用紙を折り曲げてフィギュアの手前に立てるだけで、ライトの反射光が顔に届くようになる。
iPhoneのフラッシュは正面から平行な光を当てるため、凹凸がつぶれてフィギュアの立体感が失われやすい。撮影ボックスのライトと組み合わせる場合はフラッシュをオフにして、ボックスの光をメインにした方が自然な仕上がりになる。
手ブレを減らすシャッター操作
画面のシャッターボタンをタップすると、タップの瞬間に指が本体を動かしてブレが生じる。本体の音量ボタン(上下どちらでも機能する)をシャッターとして使うと、タップ時のブレが起きにくい。
三脚やスマホスタンドにiPhoneを固定できる場合は、タイマー撮影(3秒設定)を使うとシャッター操作時のブレが完全に排除できる。カメラアプリ上部のアイコンからタイマーを設定する。動きのあるアクションポーズや複数アングルを素早く切り替える撮影ではタイマーが邪魔になるため、全体像の確定カットに使い分けるといい。
iPhone 15 Proのマクロ撮影を活用できるケース
Apple公式仕様によると、iPhone 15 Proは超広角カメラを使ったマクロ撮影機能を搭載しており、被写体まで約2cmの距離でフォーカスが合う。顔の塗装のディテール、台座の刻印、微細な傷・汚れを記録するサブ画像の撮影に活用できる。
ただし超広角レンズ(約13mm相当)を使った撮影になるため歪みが強く出る。全体像のメイン画像には不向きで、ディテール確認の補助画像として使う用途に向く。iPhone 14以前でフィギュアの細部を撮る場合は、クリップ式マクロレンズ(3〜5倍)をスマホ背面に装着する方法がある。10倍以上では手ブレの影響が顕著になるため三脚固定が前提になる。
EC出品・メルカリでの撮影構成
フィギュアをフリマアプリで出品する場合、購入者が確認したい情報は全体のスケール感がわかるメイン画像(全身)と、顔と塗装の状態・目立つ傷・台座や付属品の有無を示すサブ画像だ。
全体像はズーム1.5〜2倍・距離60〜80cmの白背景構成で1枚撮り、顔のアップと気になる箇所を2〜4枚追加するのが基本的な構成になる。iPhoneの12MPカメラ(約4032×3024px)ならメルカリの推奨サイズ(800×800px以上)を余裕で満たせる。
出品点数が増えた場合や高額フィギュアの売却で写真品質を確保したい場合は、商品撮影代行のおすすめ比較から撮影会社を探す選択肢もある。フィギュア撮影全体のアングル設定と基本はフィギュア撮影の方法にまとめています。ライティングの組み方についてはフィギュア撮影のライト選び、撮影ボックスの選定基準はフィギュア撮影ボックスの使い方を参照してください。